外壁の色褪せが気になってきたなぁ…
サイディングの目地がボロボロになっているな…
などなど、外壁や屋根の塗り替えを検討し始めたとしても、実際は外壁塗装や屋根塗装のことなんてよくわからないですよね。

特に初めての塗装となると、いったい何をどうしたら良いのか…
また2回目、3回目の塗り替えでも、前回の塗装から結構な期間が経過していると、どんな塗料を塗ったとか既に忘れてしまっていることも。

こちらのページでは塗装工事の見積もりや、実際に塗装業者に相談をする前に、まずは知っておきたい塗装や塗料に関する基礎知識をまとめました。

塗装・塗料の役割について

塗料は外壁や屋根といった場所に塗装され、薄い塗膜を形成しています。その塗膜の役割は建物を守ることにあるといえます。

しかし、建物の一番外側に位置し、常に太陽からの直射日光、雨や風といった過酷な環境に晒される塗装・塗膜…残念ながら、その寿命は建物に比べると、どうしても短いものとなってしまいます。

しかし、その塗膜が、外からのダメージを軽減してくれることによって、建物の寿命が延びていることは間違いありません。

そのため、適切な塗り替えやメンテナンスを行わずに放っておけば、建物は見えない所から腐食・劣化が進み、最後には大掛かりなリニューアルや建て替えが必要になり、結果、大きな出費となってしまう・・・
そういったことを防ぐためにも、塗膜の状態によって適切なメンテナンス処理…塗り替え作業が定期的に必要となってきます。

また二次的な効果として、塗り替えを行うことによって、新築時のような美しさを取り戻すことや、違うカラーで塗り替えを行うことによって以前とは違う雰囲気を演出することも可能です。

塗料の原料について

塗料は主に「樹脂」「顔料」「添加剤」「溶剤」の4つの原料で構成されています。
それぞれの原料がもつ特徴を見ていきましょう。

樹脂

塗料の持つ特徴や性能は、塗膜を形成する主成分となる「樹脂」によって大きく左右されます。
樹脂には油類、天然樹脂、合成樹脂などの種類があり、それぞれに長所や短所があり、塗料にもそれぞれの特徴が出ることになります。

顔料

塗膜に色をつけるための着色顔料、さびを防ぐためのさび止め顔料などがあります。他にも塗料の増量剤としての役割もあります。

添加剤

塗膜を安定させる改質剤、柔軟性や対候性を改良するための可塑剤(かそ)などで、非常に種類が多いです。
中には特別な性質を付加するための「添加剤」が含まれた製品もあります。

溶剤

流動性を調整し塗装を容易にするために使われている希釈材のことで、塗膜の形成後には揮発して残りません。
「溶剤」には水を使用した水溶性(水性)、有機溶剤を使用した溶剤系(油性)に分かれ、それぞれに特徴や用途が存在します。溶剤系はさらに細かく一液型・二液型に分類されます。

溶剤による特徴

水溶性塗料の特徴

日本ペイント 水性シリコンエポサーフ
水性塗料の例
日本ペイント
水性シリコンエポサーフ
水溶性塗料は臭気が少なく周囲への悪影響が少ないため、住宅密集地などでも理解が得られやすいことや、内装塗装においても安全に使用できることが大きな特徴です。
反面、溶剤系塗料に比べ、密着力が弱いためにシーラーやプライマーの塗布といった下地処理が必須となること(施工コストが高くなる)、気温が低い時には乾燥が遅れるため塗装ができないなどのデメリットがあります。

溶剤系塗料の特徴

日本ペイント 一液ファインシリコンセラUV
溶剤系塗料塗料の例
日本ペイント
1液ファインシリコンセラUV
溶剤系塗料は下地との密着性が高く、特に金属部の塗装に対しては水溶性塗料よりも優れているため、特に外部の鉄部の塗装などに適しています。また、耐酸性、耐アルカリ性が高く、薄く強い皮膜を形成します。
デメリットとしては、有機溶剤の臭気によって住宅環境によっては施工が行えない場合があることや、環境に及ぼす影響が大きいこと、施工時の安全性に十分注意を払う必要があることなどです。

一般的に乾燥後の塗膜の強度や価格については液溶剤型の方が優れているのですが、特に環境問題について関心が高まっていることもあり、メーカーによって溶剤系塗料に劣らないレベルの耐久性が確保された水溶性塗料が製品化されていることもあり、徐々に水溶性塗料への移行が進んでいます。

合成樹脂による特徴

4つの原料の組み合わせによって、数多くの種類が存在する塗料ですが、塗膜を形成する主成分である「樹脂」によって大きく分類することができます。

ここでは主に下地を保護し、着色を行い美しく仕上げるための中塗り工程・上塗り工程において、外壁や屋根の塗装によく使用される合成樹脂を主成分とする塗料について取り上げます。

フタル酸樹脂(アルキド樹脂)系

日本ペイント Hi-CRデラックス300G
合成樹脂調合ペイント塗料
日本ペイント
Hi-CRデラックス300G
一般名称:
合成樹脂調合ペイント
アルキド樹脂塗料
アクリルアルキド樹脂塗料など
耐用年数:
2~4年

油脂を加えて反応させた塗料用専用のポリエステル樹脂を使用した塗料です。

安価ですが、紫外線にあたると黄色に変色し、傷つきやすく汚れやすいデメリットがあるため、塗り替えリフォーム用途ではほとんど使われません。

アクリル樹脂系

日本ペイント オーデグロス
アクリル樹脂塗料
日本ペイント
オーデグロス
一般名称:
アクリル樹脂塗料
アクリル樹脂エマルジョン塗料
NADアクリル樹脂塗料など
耐用年数:
3~5年

アクリル樹脂はその着色性の良さから、液状またはワックス状にして塗料の主成分として利用されています。

透明度が高いため光沢(つや)が長持ちし、色あせが起こりにくく、高温でも変色しない特徴を持っています。

特に透明性を生かしたクリア塗料は耐候性がよく、黄変しにくい特徴も兼ね備えているため、クリア塗装としてトップコートにも使用されます。

耐水性、耐アルカリ性を持ちますが、アクリル樹脂にも様々な種類があり、耐酸性が低いもの、耐油性が低いものなどがあります。

またアクリル樹脂のもつ性質から、後述するアクリルポリウレタン樹脂やアクリルシリコン樹脂などの合成樹脂のベースとしても利用されています。

ウレタン樹脂系

日本ペイント 水性ファインウレタンU100
ウレタン樹脂系塗料
日本ペイント
水性ファインウレタンU100
一般名称:
ポリウレタン樹脂塗料
湿気硬化ポリウレタン樹脂塗料
アクリルウレタン樹脂塗料など
耐用年数:
5~7年

ポリウレタン樹脂塗料は下地に対する追従性や密着性、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐油性といった特徴を持ちます。

モルタル・コンクリートの他、トタンや鉄、アルミといった金属にも使用されますが、特に木部と非常に相性が良いことと、高い耐摩耗性を持つため、フローリングといった床材などにも利用されています。

シリコン樹脂系

日本ペイント 水性シリコンセラUV
シリコン樹脂塗料

日本ペイント
水性シリコンセラUV

一般名称:
アクリルシリコン樹脂塗料
アルキド変性シリコン樹脂塗料
シリコン樹脂塗料など
耐用年数:
7~10年

主に外壁塗装で使われるものは、アクリル樹脂とシリコンを反応させたアクリルシリコン樹脂で、アクリル樹脂が持つ特徴である光沢性や保色性に加え、シリコンの持つ下地に対する接着力や汚れが付着しにくい特徴を兼ね備えています。

また後述のフッ素樹脂に劣らない、高い耐水性、耐薬品性、耐油性といった、耐候性も兼ね備えています。

フッ素樹脂系

日本ペイント ファイン4Fセラミック
フッ素樹脂塗料
日本ペイント
ファイン4Fセラミック
一般名称:
フッ素樹脂塗料
耐用年数:
10~15年

こげつかないフライパンなどに使われているフッ素樹脂を使用した塗料です。

非常に高い耐候性、耐熱性、耐油性、耐薬品性に加え、水をはじく撥水(はっすい)性、傷や剥がれに強い、汚れがつきにくいと至れり尽くせりの特徴を持ちます。

さらにはその特徴をこれまでの塗料の数倍の長期間にわたって保ち続ける耐久性まで備えています。

唯一の欠点は価格といえます。高額のためにまだまだ幅広く普及しているとは言えない状況です。

下塗り用塗料について

下塗り用塗料には下地と仕上げ用塗料とを密着させるという非常に重要な役割を持っています。

どれだけ仕上げ塗料に高級で耐久性の高い塗料を使用したとしても、仕上げ塗料と下地素材とその状態に適した下塗り用塗料を選択しなければ、仕上がりに大きく影響し、また仕上げ塗料の持つ本来の性能は発揮されないため、選定にはしっかりとした知識と注意を要します。

シーラー(プライマー)

日本ペイント ファイン浸透シーラー
2液溶剤型浸透シーラー
日本ペイント ファイン浸透シーラー

シーラーは接着や覆い隠すの意味を持つsealから、プライマーはprimary(最初の)意味を持つ用語で、その名の通り、下地処理後に最初に塗るための塗料となります。

下地に浸透し硬化することによって、仕上げ塗料の下地への吸い込みを押さえることと、仕上げ用塗料との密着を高める接着剤のような役割を持っています。

水性・一液溶剤系・二液溶剤系、また含まれる樹脂によってさまざまな種類があり、主に新築時や下地の劣化が軽微な場合、臭気の少ない水性を使いますが、劣化が進むにつれてより強い溶剤系を使用します。

フィラー

日本ペイント ファイン浸透シーラー
セメントフィラー
日本化成株式会社 NSカチオンフィラー#1

充填するという意味のfillerからきています。下地の細かなひび割れや素穴を埋めたり、段差のある下地を平滑にするための下塗り用塗料です。

ローラー塗装用や吹き付け塗装用、浅いクラックの刷り込み補修に使用されるセメントフィラー等の種類がありますが、最近ではクラックの動きにより追従性を持つ微弾性フィラーの方がよく使われます。

微弾性フィラー

ロックペイント エラスティックフィラー
微弾性フィラー
ロックペイント エラスティックフィラー

シーラーの持つ仕上げ塗料との接着を高める機能とフィラーの持つ段差下地を平滑にするための機能を併せ持った下塗り用塗料です。

粘度が高いため下地面の凹凸に対しても追従できる特徴を備えています。また厚塗が可能なため、微細な傷やクラックを埋めて隠したり、クラック補修後に下地調整にも利用できます。現在の主流の下塗り用塗料です。

弾性フィラー(+シーラー)

大日本塗料 DNT弾性フィラー一液テクト
弾性フィラー
大日本塗料 DNT弾性フィラー一液テクト

名前の通り、微弾性フィラーよりさらに凹凸への追従性が高い特徴があります。

劣化と凹凸の激しい下地において、シーラーの持つ下地に浸透して硬化し、仕上げ用塗料の吸い込みを押さえる特徴と、より高い凹凸への追従性を持つ弾性フィラーの両方の長所を取り入れるために、溶剤系浸透シーラーを塗布後に弾性フィラーを重ね塗りする工法を使用します。

また、外壁の下塗り工程の課程では、2液溶剤型エポキシ樹脂浸透シーラー + 弾性フィラーを使用した塗装を行っています。

錆止め下塗り材

日本ペイント ハイポンファインプライマーⅡ
錆止め塗料
日本ペイント ハイポンファインプライマーⅡ

主にトタン外壁やトタン屋根、外部のフェンスなどの鉄部の下塗りに使用する錆止め効果のある下塗り材です。

水溶性、一液溶剤型、二液溶剤型があり、樹脂や添加物によってフタル酸樹脂系シアナミド鉛系、エポキシ樹脂系があります。また最近では環境に配慮した、鉛やクロムが無添加のものもあります。

詳しい解説は割愛しますが、その他にも藻やカビの発生を抑える防藻処理剤防カビ処理剤、特殊な状況で使用する塗料などもあります。

塗装の塗り替え時期の目安

合成樹脂による特徴にも記載していますが、使用されている塗料によって目安となる耐用年数と呼ばれるものがあります。

塗料による耐用年数の違い

分類 耐用年数
フタル酸樹脂(アルキド樹脂)系 2~4年
アクリル樹脂系 3~5年
ポリウレタン樹脂系 5~7年
アクリルシリコン樹脂系 7~10年
フッ素樹脂系 10~15年

実際には建物の置かれている環境によって劣化の度合いが大きく異なるため、塗り替え時期に関しては一概に基準を定めることが難しいのが実情です。

次の塗り替えの判断方法にて、ご自身で確認する際の判断材料となる塗装の状態を写真にて掲載しておりますので、まずは新築時や塗り替え時に使用した塗料をお調べ頂いて、耐用年数に近ければ、一度ご自身で建物をご確認されることをオススメいたします。

そして、不安な点があれば塗装のプロフェッショナルに診断してもらうのが最適です。

リペイン工房ではご相談、診断、お見積りは無料です。お気軽にご連絡ください。

塗装の塗り替えの判断方法

下記のような症状が出ていましたら、塗装の塗り替え・メンテナンスが必要かもしれません。

大切な建物を長もちさせるために、今一度ご自宅や店舗などをご確認ください。

塗り替えが必要な状態

Case01 塗装が剥がれている、浮いている

塗装の剥がれた外壁
塗装の剥がれた状態

直射日光等による経年劣化によって塗膜が付着力を失い、下地から剥がれたり浮いてしまっている状態です。

Case02 塗装面のつやが無くなる・色が変色や退色している

変色した外壁
変色した状態

直射日光等による経年劣化によって塗膜が色褪せてしまったり、異なった色へ変色した状態です。

Case03 藻やカビの発生

藻の発生した外壁
藻の発生した外壁

塗膜表面に汚れが付着しそこから藻やカビが発生した状態です。

日光の当たらない北側や、湿気の溜まりやすい立地条件などによって発生します。

Case04 金属部のさびの発生

さびが発生した外壁
さびが発生した状態

直射日光や風雨にさらされる、または他の物質と反応してさびが発生しています。

Case05 ひび割れ

クラックが発生した外壁
クラックが発生した状態

塗膜に亀裂・ひび割れが発生している状態で、クラックと呼びます。

直射日光等による経年劣化の他、施工時の乾燥が不十分だった場合、建物のゆがみや地盤が原因で発生する場合もあります。

塗装面のみの浅いクラック(ヘアークラック)であれば、塗装の塗り替え処理で修復できますが、下地に達する深いクラック(構造クラック)の場合、下地調整処理時に補修作業が必要となります。

Case06 表面に粉っぽいものが付着している

チョーキングの発生した状態
チョーキングの発生した状態

経年劣化によって塗膜表面が粉状になって消耗していく現象で、チョーキング白亜化と呼ばれます。

表面を手で触ることで確認が可能です。

Case07 サイディング外壁の目地の劣化

サイディングの目地の亀裂
目地に亀裂が発生したサイディング外壁
サイディングの破損状態
サイディングの破損した状態

サイディングの目地や、窓周りのシーリング部に亀裂が入った状態です。

主に経年劣化が原因ですが、新築時や前回の修復時に適正な施工が行われていない場合には早期に発生する場合もあります。

目地の劣化がひどい状態で放置した場合、亀裂から雨水が入り込み、サイディング素材が水分を含み。外壁のゆがみや、含まれた水分が凍結することによる破損などの症状を引き起こします。(写真2枚目)

上記の様な症状を発見した、または判断に困る場合には私たち塗装のプロにご相談ください。

リペイン工房ではご相談、診断、お見積りは無料です。お気軽にご連絡ください。